若年性認知症患者を看護して

若年性認知症患者を看護して〜その2〜

彼が豹変する時・・・

〜その1〜の続きです。

 

ナースコールを押しているイメージ普段はとても大人しくて、看護師を困らせるようなことはなかった彼ですが、夜間は人が変わったように変化していました。

 

恐らく母親が帰ってしまう不安からなのだとは思いますが、消灯するとベッドの上で独り言を話し始めたり、大きい声を出したりするのです。

 

また、廊下の徘徊が始まるとこんな事もありました。

 

自分のベッドが分からなくなるので、女性部屋に入り込んでしまい、女性患者がナースコールで教えてくれるという事も何度かありました。彼なりに、寂しかったのでしょうね。

 

彼が病気を治して退院していく頃には、病棟にも看護師にも慣れて、さほど問題となる行動はありませんでした。

 

彼が退院してから「お母さんが働いている間に彼は自宅でどうしているのですか?」と、母親に聞いたことがあります。

 

週3日は、母親の妹が看ていてくれること。他の3日は父親の親戚が変わりながら看ていてくれているということでした。彼は大人しい性格なので、部屋からあまり出ることがなかったそうです。部屋の中に危ない物を置いておかない限りは問題はなかったようです。

 

しかし症状が悪化していくが分かっているので、今のうちにお母さんも働いてお金を貯めて、最終的にはお母さんが看るという方針になっていたようです。

 

私はこの話を聞いて、家族全体で彼を支えているのだなと感動しました。そして、そんな家族に支えられている彼に安心しました。

 

20代という若さで若年性認知症を発症したので、その先は長いですが、こんな暖かい家族がいれば大丈夫であろうと思いました。

 

そんな彼のことは、今でも忘れません。今は彼も40代になっているでしょう。今はどうなっているかは、分かりませんが、幸せでいてくれると信じています。